意匠権のライフサイクルついて
明立特許事務所では、特許だけでなく、意匠についてもお取り扱いいたします。まずは、意匠権の誕生から消滅するまでについてのライフサイクルについて説明します。
まず、意匠権で保護されるものは何か、を考えて見ます。
意匠権の保護対象は、「意匠」です。
「意匠」というのは、意匠法で定義されており、「物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定められております。
そして、意匠権は、特許権と同様に、この意匠が誰のものであるかを定めるものであり、意匠という知的財産を保護するための権利というわけです。
でも意匠権を誕生させるためには、まず、意匠登録出願という手続きを特許庁にしなければなりません。
意匠登録出願前
意匠登録出願をするためには、意匠を図面や写真等に表したものを願書に添付して特許庁に出願する必要があります。
特許庁では、審査官が意匠審査基準に基づいて審査します。
ここで、意匠権となるためには、その発明が、
- 工業上で利用できること(工業上利用性)
- 新しいこと(新規性)
- 創作が容易でないこと(創作容易性)
- 公開された先の出願の出願書類に記載された意匠と同一又はその一部でないこと(拡大先願)
- 公序良俗を害するおそれ等がないこと
という要件を満たす必要があります。
また、出願する際の手続きとしては、
- 1つの願書では1つの意匠について出願すること
- 出願のための願書、図面が所定の記載要件を満たしていること
という要件を満たす必要があります。
これらの要件を満たしたものを出願します。この際、その意匠に対して一番最初に出願しなければ、その出願人は意匠権者にはなれません。なので、急いで出願する必要があります。
出願に際して必要な書類は、
- 「願書」(意匠登録願の「願書」の作成要領)
- 「図面」(意匠登録願の「図面」の作成要領)
となります。
これらをそれぞれ所定の様式(意匠登録出願の様式は?)に従って準備して、出願します。
意匠登録出願後〜意匠権の誕生
出願したところで、特許とは異なり、請求しなくてもそのまま審査されます。
審査の中で、先に記載した様々な要件について、基準を満たしているかそうでないかが審査されます。そして、すべてクリアしたと判断された場合には、意匠登録してもいいですよ、という査定がなされます。
一方、これらのうち、一つでも疑わしい点があれば、登録されません。その場合には、意匠登録できないとする理由書が特許庁から送付されます。
このとき、特許庁の判断に不服がある場合、又は不服はないけれども何とかして登録したい場合には、特許庁に意見したり、願書や図面の内容を少し見直した書面を提出したりします。ここで再度審査が行われ、要件が満たされれば特許査定となります。
この段階でもやっぱり要件を満たさないとなったら、登録できませんという査定が下されます。これに不服の場合には、さらに審判、訴訟に進みます。
何れの場合でも、最終的に登録査定(審決)がなされ、最後に登録料を支払ったところで意匠権の設定登録がなされて、ここに晴れて意匠権が誕生します。
なお、意匠登録出願等の手続については、コチラも参照してください。
意匠権の誕生後〜消滅
意匠権というのは、産業政策上認められた権利なので、登録から20年経過した時点で消滅してしまう、期限付きの権利です。
そして、消滅するまでの間、特許権と同様に権利を維持するための登録料を特許庁に支払い続ける必要があります。この登録料は、意匠権そのものの価値とは関係なく、存続期間に応じて決められています。
なので、維持費用に比べて意匠権が生み出す価値が低い、というのであれば、無理して最後まで維持する必要はないでしょう。
こうして、維持するためのお金を支払わない場合には、意匠権が途中で消滅します。
他にも消滅要因がいくつかあります。
その一つが、無効審判という制度によって、消滅どころか、初めからなかったものとさせられてしまう場合です。
例えば、意匠権の価値が高いほど、競合にとっては邪魔な存在となるので、権利をつぶしたいと思います。このような場合に、特許権と同様の考え方により無効審判が請求されます。